ジョンストンズ オブ エルガン|johnstons of elgin

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大草直子さんがデザイナーに聞く
ブランドに関する10の質問

大草直子さんがデザイナーに聞くブランドに関する10の質問

ジョンストンズ オブ エルガンの原点であるスコットランドの本社から、デザイナーが来日。久しぶりに日本を訪れたこの機会に、ジョンストンズ オブ エルガンの愛用者として知られる大草直子さんとの特別対談を行いました。ブランドの歴史から、オススメの巻き方、デザインのインスピレーションなど、大草さんが気になる10の質問をざっくばらんに聞いていただきました。

  • 大草直子さん

    大草直子さん
    スタイリスト、ファッションディレクター
    『AMARC』主宰

  • LAURA GARNER

    LAURA GARNER
    デザインディレクター

ジョンストンズ オブ エルガンの歴史

Q1. ブランドの歴史、生産背景について簡単に教えてください。

A.ジョンストンズ オブ エルガンは1797年に創業し、225年の歴史があります。商品はスコットランド製であり、その事実を一人ひとりがとても誇りに思っています。それがこのブランドを形づくるものであり、私たちの名誉の証なのです。
1811年には、創業者が一貫生産体制を導入。現在に至るまで、紡績、染色、縫製など、アイテムを生産する上でのすべての工程を自社工場内で行っています。1851年にはロンドンでカシミヤを購入し、スコットランドで初めてこの貴重な糸を織る会社となりました。
私たちは2つの工場を所有しており、エルガンに織物工場、ホーイックにニット工場があります。両工場を合わせると、従業員数は1000人強になります。どちらの工場もとても大きく、そして美しいです。

Q2. 数あるストールブランドの中での、ジョンストンズ オブ エルガンのオリジナリティとは?

A.真摯な姿勢とクラフトマンシップではないでしょうか。私たちはあらゆる分野の技術を結集した小さなコミュニティーのようなものです。親から子、という風に何世代にも渡ってジョンストンズ オブ エルガンの工場で働き、技術を受け継いでくれているスタッフもいます。ジョンストンズ オブ エルガンは家族経営の会社なので、従業員は皆、家族のように接します。このことが、ジョンストンズ オブ エルガンのオリジナリティをつくりあげているように思います。
また、アーカイブも重要です。私たちのアーカイブルームには、200年にも渡って保管されている資料がたくさんあります。そこにはインスピレーションが詰まっており、1ヶ月に1回はその部屋で丸1日過ごす程です。アーカイブからヒントを得ながら現代の要素をプラスする、伝統や歴史をしっかりと守りながらも新しい挑戦を続けることが私たちの個性へと繋がっています。

Q3. ジョンストンズ オブ エルガンには7000種類もの色があるとお聞きしました。ブランドとしての色出しやこだわりをお聞かせください。

A.はい、7000を超えるカラー規格があります。おそらく今はもっと多いのではないでしょうか。今日、私たちは、4200色以上の毛糸の所有しており、今年だけでも約2360種の新しい染料レシピを作りました。すべてがうまくいくわけではありませんが、この数を見ればカラーが私たちにとっていかに重要であるかが分かりますね。市場や季節、お客様に合ったストールを作るために、高品質のカラーを揃えるのです。これも、他のストールブランドとは一線を画す、私たちならではのユニークな特徴だと思います。また、ZDHC(Zero Discharge of Hazardous Chemical:有害化学物質の排出ゼロ)の一員でもあるジョンストンズ オブ エルガンは、有害化学物質を排除し、持続可能な化学物質管理の道を切り開くことに専念しており、高いレベルで検証された染料を使用しています。

Q4. ジョンストンズ オブ エルガンの魅力を引き立てるチェック柄はパターンの出し方が難しいとお聞きしました。どのあたりにその難しさがあるのでしょうか?また過去の苦労話などあれば聞かせください。

A. そうですね、おっしゃる通りジョンストンズ オブ エルガンにとってチェック柄は欠かせません。難しい点と言えば、美しいそれぞれのカラーをパターンの中でまとめることでしょうか。一つひとつのカラーを活かせるように配置することが重要になってきます。特に色数の多いハウスチェックは頭を悩ませることも多いですね。そういう時はカラーを床一面に並べ、見返します。そしてみんなでランチに行ったりして、一息つくんです。そうすると目も頭もリセットされて、新しい視点でデザインすることができます。でも基本的には、私はジョンストンズ オブ エルガンのデザインをすることが大好きでこの仕事に誇りを持っているので大変に思うことはありませんね。

Q5. 創業当初から、コンセプトもプロダクトも大きくは変わっていないと思います。それでも、決して”古く”はならない。その理由(秘訣)は?

A. やはり、真摯な姿勢と 言えると思います。伝統やルーツに敬意を払い、自分たちが行うすべてに大きな誇りをもつこと。そしてもちろん、社員とプロダクトを大切にすること。お互いを思いやるのです。このシンプルな考えが、ジョンストンズ オブ エルガンが決して古びることのない秘密なのです。人生についても同じだと言えますね。

ジョンストンズ オブ エルガンの
ストールについて

Q6. 今季のコレクションのラインナップやテーマを教えてください。

A. 22AWのテーマは「Full Circle(フルサークル)」。このコレクションは、私たちを囲む「人々」「場所」「製品」「原点」からインスパイアされたものです。デザインチームは、スコットランドの工場を取り巻く素晴らしい自然の風景に目を向け、高原の落ち着いたグリーンや、ダークブラウン、秋に色づく燃えるような赤や紫、金色がかった黄土色、スコットランドの凍りつくような冬から連想されるパステルブルーの色合いを取り入れました。これらはすべて、スコットランドの原風景を表現しています。 また、コレクションを製作するにあたって、アーカイブにも目を向けます。タイムレスな製品を作ることはサステナビリティの強化にも繋がりますし、時代を超えて愛されるアイテムとしてお客様の手に届けることができます。

Q7. 今季のコレクションの中での一番のお気に入りは?

A. 今季日本のためだけに作った、日本限定のストールですね。ロイヤルスチュワートのチェックを踏襲し、カラーを変更しました。鮮やかでありながら、あたたかな印象のネオンイエローがポイントです。

Q8. WA56大判ストールのおすすめの巻き方を教え合いましょう。

ローラさん

シンプルな巻き方が好きです。くるっと巻いて、首元を高く立てます。スコットランドはすごく寒いのですが、こうするととてもあたたかいです。

大草さん

ストールを両肩にラフにかけた後、片端を胸元でひとねじりしてから、もう片方の肩にさっとかけます。このひと工夫で、チェックの見え方が少し複雑になり、ニュアンスが生まれます。肩から落ちてくることもないので、おすすめです。

Q9. 私もかれこれ10年くらいジョンストンズ オブ エルガンのアイテムを使用しています。色々な巻き方が楽しめるのはもちろんですが、使い古したストールは、ベッドのスローにしたり、ソファーにかけたりとインテリアとしても素敵なのですが、ほかにオススメの活用法はありますか?

A. ジョンストンズ オブ エルガンのストールは何にでも合うんです。上品なドレスにはもちろん、私は山登りやBBQの時などアウトドアでも使います。あとはスコットランドの涼しい夏には、海辺でも使います。そして古くなったら最終的に飼い猫が使っています。ラッキーな猫ですね(笑)

Q10. 今後の展望をお聞かせください。

A.テーラリング、ニットウェア、アクセサリーなどにも力を入れています。各シーズンにトータルなコレクションをお見せできるよう、今どんどんデザインしているので日本のみなさまにも気に入っていただけると嬉しいです。

Photo Shungo Tanaka 
Text TRYOUT

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